
Photo. Camilla Greenwell
1894年に英国の作家で詩人、ジョゼフ・ラドヤード・キプリングが出版した短編小説集、ジャングルで狼に育てられた少年モーグリを軸に、そこに棲む熊やヒョウなどの動物たちとの生活を描いた『ジャングル・ブック』。日本ではディズニーのアニメ版で広く知られているこの世界中で愛されている物語が劇場へと飛び出し、コンテンポラリーダンスとして舞台で躍動する。
ロンドン生まれのバングラデシュ系イギリス人ダンサー・振付家でクラシックバレエ『ジゼル』の新演出・振付で2017年ローレンス・オリヴィエ賞を受賞し、今日のダンス界で最も活躍している一人、アクラム・カーンによる今作『ジャングル・ブック』は2022年に英国レスターで初演された。今回3年間のワールドツアーの最終地として選ばれたのが日本で、埼玉の彩の国さいたま芸術劇場と愛知県芸術劇場で上演される。

アクラム・カーン氏
10歳の時にピーター・ブルック演出の『モーグリの冒険』で主人公モーグリを演じたカーンは創作の理由を「物語にある3つの深い教訓を私が人生で常に持ち続けているからです。第一に種族間の共通点、2番目に人間、動物、自然の強い相互依存、最後に家族、どこかに属する必要性ということです」と話す。
さらに、「私たちは今、前例のない不確かな時代を生きています。それは我々人間だけではなく、この地球上全ての生き物にとってのことです。この難問題の原因となっているのは我々が自分の家、つまりこの惑星とのつながりを忘れてしまったことです。私たちは皆ここに住み、ここから何かを受け取り、そしてここに生活を築いていますが、一方でそれに対して敬意を示し、返すことをすっかり忘れてしまったのです」とカーンはこの作品に込めた思いを語る。
昨今の人類史上の最重要課題、気候変動問題を意識してエコの観点から舞台セットはシンプルにしたという今作ではその代わりに採用された舞台全体に映し出されるアニメーション、そしてダンサーたちの動物たちになりきった素晴らしい動きと表現に注目して欲しい。


Animation Exports. YeastCulture
猿たちのアニメーション
舞台レビュー
「大ヒット映画さながらに、我々すべてに向けて力強いメッセージを放つ。まさに特別な作品」(ザ・ステージ紙 ★★★★★)
「観客を強く引きつけ、そして彼らに考えさてその場に立ちすくませると同時に希望に満ちたこの美しい芸術作品は、世界中のあらゆる舞台を飾るにふさわしい」(ザ・サンデー・ナショナル紙)
『ジャングル・ブック』日本公演
2025.6.20(金)19:00, 21(土)・22(日)14:00
会場:彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
詳細:https://www.saf.or.jp/stages/detail/103429/
2025.6.28(土)16:00
会場:愛知県芸術劇場 大ホール
詳細: https://www-stage.aac.pref.aichi.jp/event/detail/20250628.html