ニール・サイモンの傑作戯曲「裸足で散歩」が2年ぶりにパワーアップして帰ってきた

撮影:岡千里

「裸足で散歩」のキャスト五人と演出家

ニール・サイモンのハートフルコメディ「裸足で散歩」の2年ぶり再演舞台が大阪での公演を皮切りに全国各地で絶賛公演中だ。

「裸足で散歩」は1963年にブロードウェイで初演されロングランを記録。その後ロバート・レッドフォードとジェーン・フォンダというハリウッドきっての大スターの共演で映画化もされ(1967年)世界中で絶賛されたブロードウェイの喜劇王ニール・サイモンの代表作の一つ。

弁護士で神経質な夫ポール(加藤和樹)と自由奔放な妻コリー(高田夏帆)。この新婚夫婦がエレベータもなく、天窓には穴があいている欠陥だらけの古いアパートの5階に引っ越してきたことで巻き起こる騒動、数々のトラブルに派手な夫婦喧嘩、コリーの母親バンクス夫人(戸田恵子)とアパートの風変わりな住人ヴェラスコ氏(松尾貴史)との新たな恋など、思い違い、すれ違いによる笑いと共に展開していく。

2022年公演とほぼ同じキャスト(アパートを訪ねて来る電話会社の男だけが新キャストで福本伸一に変わった)が集結しての再演となった2024年版。

撮影:岡千里

コリー(高田夏帆)、電話会社の男(福本伸一)、ポール(加藤和樹)

演出の元吉康泰は10代でニューヨークに渡り、24歳の今は脚本執筆に加え多くの海外戯曲の翻訳、訳詞を手掛ける福田響志の翻訳により今の時代に見あった、若者たちにも自然に受け入れてもらえる生きた言葉選びが見どころのニール・サイモン芝居に仕上がっていると話す。

今回、10月10日の東京プレビュー(曳舟)公演を終えて主演の加藤は、

「注目していただきたいポイントはたくさんあるのですが、2幕の途中にコリーとヴェラスコさんのシーンがあるのですが、すごく自由度が高いので、毎回どうなるか楽しみにしているシーンです。そこは是非注目していただきたいと思います。初演の時は、コロナの影響もあって声を大にして笑えなかったと思いますが、2年ぶりの再演となる今回は各劇場で笑い声をいただいて、演じている自分たちも心が温まります。皆様の心が豊かになるように我々全力で幸せな物語を届けられたらと思いますので楽しみにしていてください」とのコメントを出している。

撮影:岡千里

コリー(高田夏帆)とポール(加藤和樹)

また、1984年に下北沢ロングラン・シアターの公演でコリー役を1年3ヶ月間演じ、2022年に続きコリーの母親バンクス夫人を演じている戸田恵子は、

「物語の中で際立って特異な事が起きる訳ではないのですが、若者の夫婦が少し成長するのと、このおじさんとおばさん(バンクス夫人とヴェラスコ氏)も少し成長させられ、そして電話工事の人も面倒に巻き込まれて少し成長している・・・。皆が少しずつ成長する物語で面白くなっているというのが見所だと思います。見所は満載ですのでたくさん楽しんでくださった方が最後にキュンとなるのだと思います」と話す。

撮影:岡千里

ヴェラスコ氏(松尾貴史)とンクス夫人(戸田恵子)

そして元吉によると「コリーのモデルが、(ニール・)サイモンの最初の奥さんで、20年連れ添った末にがんで死別されているジョアンだと言われていて、今回改めて稽古をしてみて、本当に彼女のことが好きだったのだなと気づきました。途中でポールとコリーが喧嘩をするシーンがあるのですが、どこか許しあうというか、相手に光を求めるような方向性にしました」とのこと。

2年経って、また新たに名作戯曲に取り組んでいる5名の役者たちによる絶妙な掛け合いが楽しい「裸足で散歩」はあなたのお近くの劇場で。

「裸足で散歩」

10月16日〜11月5日 北海道5カ所、宮崎、大分、宮城

11月8日〜19日 東京 銀座博品館劇場

11月21日〜23日 愛知、香川

詳しくはhttps://hadashidesanpo.jp/

公式X @hadashide_sanpo