Stage photo of "Julius Caesar"

デヴィッド・ヘアの新作モノローグ劇は新型コロナについての訴え

The Guardian紙より抜粋

London Bridge
(c) Nobuko Tanaka

燐光群の翻訳舞台「The Permanent Way」「Staff Happens」「The Power of Yes」、そしてナショナル・シアター・ライブの人気作「Skylight」で日本でもお馴染みの社会派の劇作家David Hareが新型コロナウィルスに関する新作を執筆したことがわかった。

元NTの芸術監督ニコラス・ハイトナーの運営で注目を集めるブリッジシアターで再開オープニングプログラムの目玉としてレイフ・ファインズ主演、ハイトナー演出で上演される新作モノローグ劇「Beat the Devil」では感染流行初期にコロナに感染した作者の闘病体験、特にコロナ対策の舵をとる政府へ対する怒りが綴られているという。病気からくる恐怖と幻想、そこに真摯な医療対応と不誠実な政治が入り混じった結果のうわ言が怒りのモノローグを書かせたと彼は振り返っている。(8月27日〜10月31日)

ヘアは4月にBBCで、感染の状況が急速に進んだ当時ついて「ある日熱が出たと思ったら次の日には悪寒が走り、それからは吐き気と咳、そしてそれら全てが次々に起こり、最後は呼吸困難。。。10日目には5日目と比べて5倍はひどい状態になっていた」と語っている。

「大臣らの(コロナ対策の失敗に関して)責任逃れをするための言い訳の連呼、そして死者や瀕死の状態にある方々への謝罪がない状況を見て、英国のパブリック(公共)における暮らしは未だかつてないほどに地に落ちてしまったと知ったよ」とヘアは言う。「ロックダウン、隔離、悪景気、ソーシャルディスタンスなどで人々が苦しんでいるのだからその代わりとして英国のパブリック(政府)は正直になる必要がある。彼らは自らの間違いを認め、へんな小細工や言い訳をせず、正直になり我々を信頼すべき」と話す。

ブリッジシアターでは他にも今年BBCでTVシリーズ作品として放送され好評を博したThe History Boysの作者アラン・ベネット作「Talking Heads monologue」を日替わりで舞台上演する。ちなみにベネットは劇場上演へ寄与する形で無償で上演権を与えている。(9月7日〜10月31日)

全8作品が日替わりで2本立てで上演され、一度に2つのモノローグ作品を観ることが出来る。—(出演俳優)Imelda Staunton, Kristin Scott Thomas, Rochenda Sandall, Mazine Peake, Lucian Msamati, Lesley Manville, Tamsin Greig, Monica Dolan、(演出家)Marianne Elliott, Nadia Fall, Sarah Frankcom, Jeremy Herrin, Nicholas Hytner, Jonathan Kent。

さらに、この後もブリッジシアターでは3本のモノローグ作品上演が続く予定だ。

劇場サイドによると900席の客席を250席に減らして上演。2017年に開場した最新の劇場はウェストエンドにある古くからの劇場と比べバーエリアがオープンにそして広々とした作りとなっているため、既存の古い劇場よりも再開しやすい条件にあったという。

予定していた8月1日の劇場再開が遅れていて15日までは確実に室内上演が出来ない状況の英国演劇界。再開の決断も劇場によってバラツキが出ているようだ。

例えば、多くの劇場が年末の書き入れ時に予定されているパントマイム劇での収入を見込んでいる中、ロンドンの4つの劇場Hackney Empire, Lyric Hammersmith, Queen’s Theatre Hornchurch, Theatre Royal Stratford East が今年の年末パントマイム劇の上演を見合わせると発表。またリヴァプールのSt Helens Theatre Royalではソーシャルディスタンスや予算の見地からコロナ禍に見合った演目に変更して年末公演を行うと発表している。