COVID-19の影響でツアーが中断してしまった日本でもお馴染みのマシュー・ボーン率いるNew Adventuresカンパニーの「Red Shoes(赤い靴)」。1948年のPowell & Pressburger作英国映画にインスパイヤされたボーンが作り上げた新作版は2016年に世界初演され、開幕前にソールドアウトするほどの注目を集めた傑作。その年のオリヴィエ賞で2冠に輝くなど、結果もきちんと残し、再演を待ち望むファンが多かった作品だけに今年始まったツアーの途中キャンセルを残念に思う人は多い。 今月中旬からの日本ツアーも予定されていただけに、その多くの中には日本人のファンも多く含まれている。
9月(こちらも当初の予定から延期にはなったのだが)にはその舞台の映画が公開されるのだが、待ちきれない人たち、公演を楽しみにしていた人たちへ向けて一足早く特別版ショートフィルム(12分)「The Red Shoes, From Home」が届いた。
このフィルムが素晴らしい出来で、このコロナ状況下でパフォーミングアーツのカンパニーは何を提供出来るか、パフォーマーだからこそこれが可能だ、という攻めの表現としてかなり参考になるはず。
ただ単にお家のステイホームを見せてみました、でもなく、PRスケッチでもなく、この12分間の中にきちんとNew Adventuresのテイスト、ボーンの作風が詰め込まれ、そして一方ではアーティストたちのプライベート(おそらく自宅や近所で撮影しているので)もチラ見が出来て、何と言っても「赤い靴」のテーマの一つでもある「踊りたいんです!ダンスって楽しいんです!!」があふれていてショートフィルムとしての完成度が高いのが必見。
The Guardian紙の取材にボーンは「我々New Adventureカンパニーがユニークな独自のカンパニーである所以、その情熱、才能、ユーモア(これUKではmustな要素)そしてメンバーそれぞれの個性、、全てをここに込めたかったんだ」と話している。