憧れのエジンバラ・フリンジにオンラインで出演してみた

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2020年、世界最大規模の演劇フェスティバル、スコットランドのエジンバラ演劇祭は1947年に第一回が開催されてから初めての中止に追い込まれた。

国内外の招待アーティストによるインターナショナル部門、そして自由参加のフリンジ部門、ともにコロナの猛威の中では中止は避けられない決断だった。とは言え、それでも出来ることを!ということで、The Ghost Lightと銘打ったオンラインでの演劇祭、コロナ規制を設けての小規模な屋外での上演などを敢行。フェスティバルの火は細いながらも消さずに繋ぐことが出来たのだった。

昨年の未知のウィルスにより中止という混乱から1年経った2021年の夏、エジンバラはどのように変化を遂げたのであろうか。

2021年8月の一ヶ月に渡り開催されるフェスティバル。ワクチン接種が進んだことでロックダウン解除となった英国の状況を鑑み、従来のフェスティバルよりはかなり小規模ではあるがコロナ対策を講じながら再開するという結論に至った。

—フリンジフェスティバルの全体的な傾向はこちらの記事をお読み下さい。

http://jstages.com/wp-admin/post-new.php?post_type=post&jetpack-copy=4889

 

フリンジ事務局の発表によると、最終的に700以上の演目が集まった中でライブのショーが440あまり、そのほかの約260がオンラインでの演目ということだ。どの劇場もコロナ禍により始まったその新しいショーの可能性に注目をしていて、それぞれ試行錯誤の中でプログラムの充実を図っている。

そんな新しいフリンジに参加を決め、スコットランドに飛ぶことなく日本から世界への扉を開けるべく活動している日本人アーティストたちがいることをご存知だろうか。

今年1月のTPAM(国際舞台芸術ミーティング)に参加したことからスコットランドの老舗フリンジ劇場CVenueから連絡を受け、参加することになった平井企画 × Media 工房の平井光子(重力/Note)もその中の一人だ。

「オンラインフェスティバルの利点は、実際に現地で公演するよりもコストがかからないことです。私たちは本当に小規模なチームで活動しており、海外公演については今まで考えたことがありませんでした」と今回のオンラインだからこその展開は嬉しい驚きだと平井は言う。

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「オンライン作品なら、国境を超えて、いまこの瞬間に遠くの場所にいる人と同じ時間、同じ作品を共有することができます。対面舞台ではないオンラインのフェスティバルでは、私たちのような小規模チームにも海外公演に挑戦する機会が与えられました。対面舞台にはやはり大きな魅力がありますが、日本から越境する最初の一歩としてオンラインフェスティバルは優れたプラットフォームだと考えます」と平井。

オンライン用の作品制作ということで、Media工房の映像作家 Rob Morenoと共同制作した今作『塔をめぐる話』は旧約聖書「バベルの塔」の物語をベースに、ダンサーの今村よしこによるダンスを軸に、そこにことば・プロジェクションマッピングの要素を絡み合わせた3つのオムニ バス作品 —川端康成「片腕」、小川未明「黒い塔」、2001年テロ事件のニュース速報を自動書起こしで再生成した文を朗読テキストとして使用— で構成された作品となっている。

平井はオンラインでの国際フェスティバルへの参加を通じ、同じようにオンラインで作品創作をする海外のアーティストとの交流のチャンスも生まれてくるのでは、と今後の展開への期待をのぞかせる。

「オンラインで互いの作品を交換し、刺激を与え合うことで、まだ生まれたばかりの「オンライン作品」の可能性をさらに深めていきたいと考えています。」

平井から来年以降の参加を考えている人たちへ向けたお役立ち情報も聞くことが出来た。海外からのフリンジ参加ではスコットランド、エジンバラの日本領事館がバックアップしている「fringe JAPAN」という組織による手厚いヘルプがとても役立ったということだ。

2019年からの準備期間を経て、今年正式に活動を開始した「fringe JAPAN」。現地で培ってきた経験と知識、さらには現地のフリンジ事務局との密な連携により今後の日本人アーティストの躍進に欠かせない存在となりそうだ。

http://www.fringejapan.site/

—2021年のフリンジフェスティバルに参加した日本人アーティストの情報はこちらから—

英国でブレイクしたスタンダップコメディアン小谷ゆり子、ロンドンでマイムを学んだ巣山賢太郎とTania Cokeタニア・コークが始めたフィジカルシアターカンパニーtarinainanika、ダンサーで書道家の黒沼千春とジャグリングパフォーマーの岡本晃樹によるパフォーマンス『I/O』、TOKYO TAP DO!によるタップダンスとジャグリングのエンターティメントショー、世界各地で活動をしている和太鼓奏者、佐藤健作のソロパフォーマンス、角谷将視と濱口啓介のふたりが繰り出すZEROKOのフィジカルコメディショーなど。平井と同じくCVenueが運営するオンラインサイトCArtsでは大駱駝艦のメインパフォーマー我妻恵美子の舞踏のダイジェスト版なども観ることが出来る。

http://www.fringejapan.site/performance/

https://res.cthearts.com/events?s=japan&venue=&subvenue=&event_type=&season=

『塔をめぐる話』のライブ配信は8月8日に終了しているが、8月30日まではアーカイブ配信を視聴できる。その際の料金は任意で金額が決められる制度(¥455〜1,516)となっているので、詳しくはこちらのリンクからどうぞ。

https://res.cthearts.com/event/34:3401/34:59365/

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