A man playing bagpipes in Edinburgh

2021年のエジンバラ・フリンジは小規模ながら楽しみが得られるものに。

(The Guardian・ Severin Carrellの記事より) 

Courtyard of Pleasance theatre
(c) Nobuko Tanaka

 

コロナ禍での開催ということで、通常の劇場スペースの他にビーチや街の広場、歩道も会場となる今夏のエジンバラ・フリンジ フェスティバル。コロナ前に比べるとかなり規模を縮小した形でフェスティバルを開催することが発表された。それでも「楽しくて、忘れられないもの」をお届けするので、お楽しみにということだ。

7月1日から前売りチケットが発売開始となった今年のフリンジの特徴としては、スコットランドの厳しいCovidに関するルールに合わせて、ビーチ、街の広場や中庭、そして歩道など屋外で上演される演目が中心となる。

フリンジの人気演目であるストリートパフォーマーたちもエジンバラに戻ってくることになるが、自由に行き交う人が観客となり投げ銭を払う例年のスタイルとは違って、出入りをチェックできる屋外の決められた場所で人数制限を設けての上演となるという。

フェスティバルのチーフエクゼクティブShona McCarthyは、昨年全ての演目がキャンセルとなりフェスティバルが実現できなかったことで、ライブパフォーミングアートを行なっている団体やカンパニーの間には寒々とした、静まり返った雰囲気が蔓延していたと話す。

世界最大規模を謳っているフェスティバルだが、今年はかなり小規模のこじんまりとしたものとなる。多くの演目がオンライン演目で、チケット購入後にライブストリーミングで視聴するかフェスティバルのフリンジプレイヤーを使ってオンデマンドで視聴するという形式になっている。

「英国内の多くの人が境界線を越えてまでフェスティバルを観に来るとは思えませんし、海外の人にもそれを望むことは出来ません。なので、今年のフェスティバルはどちらかと言えば地域の人々のため、小規模でこの状況下でも運営が無理なくできるものになります。それでもフェスティバルはとても楽しくて素敵なものになるはずです」とMcCarthy。

「規模が縮小されたフェスティバルにはなりますが、キャバレー、コメディー、サーカスなど屋内外でのライブパフォーマンスの上演も予定しています。デジタルの作品が多い中で、それらのライブでの上演というのは本当に我々にとっても久しぶりということになります。」

プログラムの具体例としてはSilverknowes ビーチで開催されるTraverse劇場の「Move」(ゲール語の歌を含んだパフォーマンスでエジンバラ地域の人の移動の歴史、先人の暗い歴史などを描いた演目)、参加型のコメディーショー、地域のサークルによる作品、エジンバラ南部のサマーホールでのライブ音楽演奏、Musselburgh競馬場で子供向け演劇「宝島」の上演、スタンドアップコメディー(漫談)ショー、などが挙がっている。

McCarthyと制作チームはスコットランド首相、ニコラ・スタージョンから、場合によっては開催中止も辞さないというほどのかなり厳しいフリンジ開催に関するコロナ規制の徹底を言い渡された。

とは言え、最近になってスタージョンは新しい方向性として、人と人の距離間の規定を7/19以降には2Mから1Mに緩和され、8/9には全面的に距離間規制を撤廃する方向だと発表した。それゆえ、ここになって急遽、劇場内(インドア)での上演が可能になったという背景がある。そこでスコットランド政府も緊急の追加助成を決め、フェスティバルの経費に対する支援を打ち出すことになったのだ。

しかしながらMcCarthyはここ数週間のサッカーEuro2020観戦で盛り上がる若者たちによるコロナ感染者の拡大を懸念し、その結果によってはまた計画に変更が生じるかもしれないと話す。

フリンジフェスティバルの4大有力会場の1つPleasance劇場の支配人Anthony Aldersonは通常の1/10の規模で今年は開催すると言う。多くの参加者が今回限りのショーを準備していて、彼らの多くが自主的に参加を決めていると話してくれた。例年と違って、これからの新規参加希望者も受け付ける準備があると付け加えた。(例年は春過ぎぐらいに受付を締め切っていたが)

「面白いフェスティバルになると思うな。つい最近やっとゴーサインが出たばかりだから全ての準備がすごいスピードで進んでいるよ。いつもよりはだいぶこじんまりとしたフェスティバルになると思うけど、それはそれですごく興味深いものになる気がする」とAlderson。

もう一つの有力会場AssemblyのBill Burdett-Couttsも声を揃えて「何かを行うことが可能になって、本当に嬉しい」と話す。「今はとにかく旗を振り続けること、そうしながら来年に備えることが重要なんです。スコットランドはイギリスほどコロナの状況が改善していないのが残念ですけれど、とにかくベストを尽くします。」