英国の若手芸術監督たちにコロナ禍についての話を聞いた(後編)

Temporary closing theater due to Covid 19

(c) Ellery Sterling / unsplush

パンデミックで大変でしたか?と芸術監督たちに尋ねたが、全員が「それを言うならフリーランスの演劇労働者たちの(大変さの)比ではないよ」と即答した。演劇界の全労働人の70%が口フリーランスの人たちだ。彼らの大半はずっとフリーランスとして働いてきて、多くの場合収入が安定しないのは知られていることだ。Donmar Warehouseの芸術監督Longhurstは、フリーランスの時代にニューヨークでヒット作に関わっていたのだが、それでも財布は火の車だったと話す。この10月末に政府の給料支援制度が終了したあとには1/3のフリーランスの演劇関係者たちが転職を考えるだろうと言われている。

Covid-19は無視のできない業界の実情をあらわにした—それは英国演劇界はその日暮らしの低賃金ワーカーたちによって支えられているということだ。ロンドン南部の地元に根ざした公共劇場Battersea Arts Centreの新芸術監督Tarek Iskanderはこの激動の事態が業界、制度を刺激して、フリーランスの人たちのエージェンシーや安定した労働状況を作り出すようになることを願っていると言う。「我々はパワーのアンバランスを指摘していかなければ。長い間定着して放置されてきたことが今不具合を来している。今回の事態はただ物事を変えるチャンスというだけではすまなくて、それは我々の責任なんだと思う」と彼は話す。

難事が横行する時にはラディカルな解決策が出てくるものである。HighTideのDasは永続する休暇時の収入保障システムのようなものとして演劇界におけるベーシックインカム(最低限所得保障)を提唱している。かつてNHS(国民保険サービス)のエクゼクティブであったIskanderは国民全てに文化が行き渡るようNHSならぬ National Arts Serviceをというキャンペーンを行なっている。

「個人的にNHSのCovidへの対応にとても誇りを持っています。彼らは目指す目標のため、エゴを無くして 力を合わせれば可能となることがあることを示してくれました」とIskander。芸術は我々の社会にとって必要不可欠なものであるという自負のもと、アート界はそんなNHSから学ぶことが出来るはず、と彼は言う。

バーミンガムレパートリー劇場のFoleyも医療システムに注目をしている。彼は見習い研修制度にも助成金が適用されることを願っていて、そうなればバーミンガムレプは「医療の研修生受け入れ病院のように演劇の実習生を受け入れる劇場」となることも出来るだろうと話している。

今はまだ先を見通すのは難しい。しかしちょっと先の事で言うと、政府の再生のための資金援助の申請結果が出る10月の行方が大方の人たちの関心ごとの大きな一つだ。「もしも資金援助が得られなかったらバーミンガムレパートリー劇場は終わりだろう。とてもシンプルなことさ」とFoleyは話す。

一方で、その資金援助を獲得するにはかなりの苦労が必要であることは必至だ。「政治(家)とのやりとりが我々の仕事の大きなパートになっている」とLonghurstは考えている。アート界の各所で一緒に働く部署からの「驚くほど政治的な策士たち」を引き合いに出し、政治方面へ策を練る、うまく政治と関わることが結局は国庫を動かす(アートへの資金援助を実現させる)と話す。

Lintonは一連の出来事で多くの知識を得たと感じている。どのようにしたら芸術監督が劇場のため公共の主唱者となれるのかを話していた時に彼女は「私の仲間たちから政治、ロビーイングについての多くを学んだ」と話してくれた。

「ロックダウンが出た当初と今の私は全くの別人」とLintonは言う。「多くのものを失ったし、痛みや悲しみも経験したわ。でもその中で創造力やまわりの演劇コミュニティーの反発するエネルギーに突き動かされたの。今は自分のやるべきことがはっきりと見えているのよ。」

 

 

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